院長より

おぐちこどもクリニックの現状と今後
私は2000年に新生児科医から開業小児科医に転身し、早20年が経ってしまい、古希を迎えました。健康に恵まれたら75歳を目指して開業を続けたいと思います。そんな老小児科医には診てもらいたくない、あるいは乳幼児期しか診てもらえないのでは----と思う若いお母様方もいることでしょう。しかし老小児科医しかできないこともあると思っており、診療時間を少しずつ減らしながら、もうしばらく地域の子供達の健康と幸せのために働きたいと思います。
新生児科医として障害を持って退院していったこども達の十分な成育支援ができなかったという反省に立って発達専門外来を開業以来続けてきました。2021年度も130人のこども達が発達専門外来を受診しました。開業以来2000人をはるかに超えるこどもの発達相談を受け、必要に応じて心理士の療育も行っています。コロナ禍のために風邪などの病気の受診は減少していますが、発達相談の受診は逆に増えてきています。
このような経験から、小児科医は病気の診察だけでなく、こどもの発育発達を診なければいけないと思い至りました。もちろん風邪の診察も重要であり、その中から重篤な病気を見つけ出して然るべき病院に紹介することも開業小児科医の役割であると心得ています。
当院の看護師たちは私と一緒に新生児集中治療センターで働いてきた仲間です。しかも10数年に渡って子育て広場「バンビ」(当ビルの4階)を運営し、数千人の乳幼児のお母様方の子育ての不安や悩みに耳を傾けてきています。この経験を生かして彼女たちはクリニックに受診する子供達のお母様方への子育て支援を行っています。ですから遠慮せず、看護師たちにも相談してください。おそらく私よりも的確で役立つ助言をしてくれるでしょう。
今後も看護師、心理士、そして受付スタッフと協力して、障害の有無に関わらずひとりひとり人格を持つ無限の可能性を秘めたこどもとして全人的なより良い小児医療を提供していきたいと思います。
診療について
私は小児科医として日本の未来である子ども達の為に何が出来るのかと相変わらず模索中です。ついに還暦となって時の流れの速さを痛感し、限られた年月の中で可能なかぎり有意義な小児医療を実践したいと思っています。クリニックの活動内容とその理念を紹介いたします。
風邪などを中心としたこどもの急性熱性疾患、あるいは喘息、乳児湿疹などの慢性疾患の診療は開業小児科の大切な仕事です。確かに、あまりにも軽症のコンビニ感覚の受診も多いのですが、それでも心配ない事、家庭での注意点などを説明し、お母さんに安心してもらう事も必要なのだと思います。むしろ、私のクリニックを頼りにしてもらい、待合室に一歩足を踏み入れただけでホッとしてくれたら嬉しいなとも思います。
おぐちこどもクリニック 院長 小口弘毅